クリスマスも近いニューヨークの街,姪っ子へのプレゼントを調達するためにオモチャへ忍び込んだこそ泥ハリー(ロバート・ダウニーJr.)は警察に追われ,偶然ハリウッド映画出演者のオーディション会場に飛び込む。
たった今相棒を撃ち殺されて逃げてきた彼の真に迫った演技(ぢゃないんだけど)に審査員は狂喜。かくしてNYのこそ泥は翌日の晩にはロスアンゼルス,ハリウッドの有望新人として元俳優の実業家デクスター(コービン・バーンセン)家のパーティの客に早変わり。
そこで出会ったのが彼の初恋の人であり,高校時代に振られた相手(というより彼女は彼以外の全員とヤってた)であるハーモニー(ミシェル・モナハン)。ハリーはなんとか彼女と彼女の友達をホテルの自室に招き入れるが,朝になって隣に寝ていたのは友達の方だった。
翌日「役作りのため」に探偵ペリー(ヴァル・キルマー)の助手をすることになったハリー,2人への依頼はデクスターの監視だった。ところが彼らはデクスターのクルマが湖に飛び込むのを目撃,しかもそれにデクスターは乗っておらずトランクにその娘の遺体が…。
パルプマガジン風ミステリ仕立てのストーリーと随所でそれを裏切るハリーのお間抜けぶりが絶妙。これにちょっと太ったキルマー演じるファーストネームがゲイ(おそらくはゲイリーの愛称)で,モノホンのゲイなのかゲイの振りをしているのかよくわからないタフガイの探偵ペリーが絡むやりとりは最高。ワタシ,完全にツボにハマってしまいました。
例えばハリーが訊く。「オレを馬鹿だと思ってる?」「お前は口をパクパクさせてないと食い物をどこに入れるかもわかんないような人間だ。そうとも,オレはお前を馬鹿だと思ってる」。もひとつ,これはペリーから。「辞書で『馬鹿』をひいてみろ,何が出てるかわかるか?」「オレの写真?」「違う,『馬鹿』の定義だ。つまりお前がどんな人間かってことだ」。
そしてラストシーンもキルマーがキめる。「これで終わりだ。クレジットもちゃんと観てけよ,照明助手は誰だかの甥だ」。残念ながらオレには誰の甥なのかわからなかった。誰か知ってたら教えてください。