このシリーズ、原作漫画の絵柄があんまり好きになれず,公開時には見送った映画なんだが,シリーズ3作目まで興行的も大成功。この7月には4作目も公開されるということで、先日WOWOWでこれまでの3作品を一挙放送したので一挙録画し、一挙に観るのは時間的にツライので日に一本ずつ三日をかけて鑑賞した。で、この1作目は以前WOWOWで放送した時に一度観てたな。
紀元前3世紀の中国…いやまだ中国ぢゃないよな,秦国の片田舎に二人の戦災孤児、信(山﨑賢人)と漂(吉沢亮)がいた。二人は農家で奴隷としてこき使われながら暇を見つけては剣技を磨き、子供のころ戦火の中でかいま見た「天下の大将軍」に成り上がることを夢見ていた。
ある日、二人のもとに…いや正しくは二人の主人のもとに、秦の高官・昌文君(高島政宏)がやって来る。彼の目的は漂を身請けし秦の都・咸陽へ連れて行って仕官させること。置いてきぼりを食らった形の信だったが、チャンスに恵まれた漂を快く送り出し、オレも負けないぞと修業に明け暮れるのだった。
そしていくばくかの時が過ぎたある夜、自分の眠る納屋の外に人の気配を感じて目覚めた信は、そこに深手を負った漂を見いだす。自らの死期を悟った漂は一枚の布に記した地図を信に託し、オレには構わず今すぐここに行ってくれと言い残して事切れる。
信が向ったその地図の場所には、漂にうり二つの容姿をした秦の大王・嬴政。腹違いの弟・成蟜(本郷奏多)の謀反に遭い刺客から逃れてここに隠れていたのだった。漂は彼の影武者として数人の兵士とともに追手を撹乱、巧く行けばここで王と合流する手はずであったが…という事情。
成蟜による王位簒奪の企みがあったことは史実だが、秦王・嬴政がこれほど追いつめられたという記録はない。だいたい彼が謀反を起こしたのは長安君として趙攻めに出た時なので、謀反の舞台は咸陽ではない。このあと現れて嬴政を救う「山の民」というのもまぁ無茶苦茶だが、映画…おっと漫画の設定としては実に良くできていて面白いよな。特に始皇帝の将軍として名が残っている楊端和を「山の民」の王としただけでなく女性としたのは手柄だと思う。この映画の後半はほとんどその楊端和役、長澤まさみに持って行かれた。ほぼ彼女の映画みたいである。