クリムゾン・ピーク ギルレモ・デル・トロ監督

 ギルレモ・デル・トロである。なんか周囲では異常に評判のよかった「パシフィック・リム」だが,オレは途中で何度も寝てしまい,ようやく頑張って全編観通したがちっともデル・トロの映画っぽくないのでがっかりした。こんなのそれこそJ・J(エイブラムス)に撮らせればいいぢゃないかと。あ,あくまで個人の感想ですからね。

 しかし,だ。嬉しいな,デル・トロは帰ってきた。この「クリムゾン・ピーク」はひさびさにデル・トロ節全開のホラー・サスペンス。ゴシック感満載,映像も完璧。

 20世紀初頭のニューヨーク,実業家カッシング(ジム・ビーヴァー)の一人娘イーディス(ミア・ワシコウスカ)はメアリ・シェリーに影響されて小説を書いている。そのモチーフは彼女が幼いころ亡くなった母の幽霊と彼女が残した言葉「クリムゾン・ピークに気をつけなさい」。しかし原稿を読んだ編集者は皆「若い女性なんだから恋愛物を」と口を揃える。

 そんなある日,彼女の前に粘土鉱山再建の資金集めのために米国にやってきたイギリス貴族(準男爵),トーマス・シャープ(トム・ヒドルストン)が現れる。彼の事業計画を聴いたカッシングはそれを机上の空論と決めつけるが,娘のイーディスはトーマスの持つ妖しい魅力に魅かれて行く。

 トーマスの意図を知ったカッシングは探偵を雇って彼の過去を調べ,その報告を突きつけ手切れ金の小切手を渡して娘との絶縁を迫る。しかし,彼とその姉ルシール(ジェシカ・チャスティン)が船で帰国するはずのその朝,カッシングはクラブの洗面室で何者かに襲われ撲殺されてしまう。

 イーディスの幼なじみで医師のアラン・マクマイケル(チャーリー・ハナム)がその死因に疑問を持つものの,目撃者がいないことなどから無能な警察は足を滑らせて転び頭を打った事故死と判断。探偵の調査や手切れ金のことなど何も知らないイーディスは,哀しみのなかでトーマスの求婚を受け入れイングランドにある彼の屋敷へ。

 そして,その屋敷のある丘は「クリムゾン・ピーク」と呼ばれていた…。幽霊の姿形は恐ろしいが,彼女達は「悪の本質」ではない。ホントに怖いのは生きているニンゲンの業であります。スターが出演していないのでIMDbでの評価はイマイチ(米国人ってそうなんだよね)だけど,絶対「パシフィック・リム」より観る価値あると思うなぁオレ。


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