グッド・モーニング・ショー 君塚良一監督

 午前3時,いつものように目覚ましに起こされた「グッド・モーニング・ショー」のメインキャスター,澄田(中井貴一)。しかしその日はいつもと違い,隣のベッドに妻の明美(吉田羊)がいない。ダイニングキッチンに行くと,彼女はまだ学生である息子が「彼女を妊娠させてしまったので結婚する」と言っている,と。驚き説教する間もなく迎えのタクシーが…。

 局(フジだと思うがあからさまには出てこない)へ向かうタクシーの中,澄田の携帯が鳴る。相手は番組でサブを勤める女子アナの圭子(長澤まさみ)。先日振られたと落ち込んでいる彼女を慰めようと飲みに行ったのだが,思い込みの強い彼女はそれを澄田の自分へのアプローチだと曲解,「私は信じてますからね,いつ奥様に私のこと話してくれるんですか」。揚げ句の果てに「今日,本番で発表しちゃいましょうか?」

 そうこうしているうちにタクシーは到着。スタジオではスタッフが忙しくウチ働いている。今日とりあげるトピックの順序などの打ち合わせが進む中,今日の視聴者アンケートが「別れた恋人からのプレゼント捨てる?,捨てない?」であることが発表されると,圭子が澄田に寄ってきて「私は捨てませんよ」と先日澄田が出張みやげに皆に買ってきたひこにゃんのストラップを見せる。

 困惑する澄田はプロデューサーの石山(時任三郎)に呼ばれて屋上へ。「今月末でグッド・モーニング・ショー,打ち切りが決まったから」「え,でキャストは? オレは残留だろ?」「キャストも一新。潮時だろ」。ショックを受けつつも化粧室に入ってドーランを塗る澄田。そこにアシスタント・ディレクターが黒いスーツを持ってきて「澄田さん,立てこもり事件が発生。被害者がいるかもしれないのでこれに着替えてください」

 事件発生現場は山手線大崎駅近くのカフェ。そこに猟銃らしきものを持って立てこもった犯人ニシタニ(濱田岳)の要求は…なんと「グッド・モーニング・ショー」のキャスター,澄田をここに連れて来い,というものだった! 現場で澄田を出迎えた警察特殊班の黒岩(松重豊)は澄田に防弾チョッキとヘルメットを…。

 90年代後半の飛ぶ鳥落とす勢いはどこへやら,いまや凋落著しいフジテレビが東宝と組んで作った映画。監督もあの「踊る大捜査線」の脚本を手がけた君塚良一。同じようなシチュエーション(偶然だろうけど)の「マネーモンスター」(ジョディ・フォスター監督)よりもまとまってる印象だけど,繰り出されるギャグのイチイチが,イタイほど古くて自虐的な感じがしてちょっとヒくところも。でも長澤まさみの困ったちゃん演技は一件の価値ありか。


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