ザ・シューター/極大射程 アントワーン・フークア監督

 スティーブン・ハンターの「極大射程」が原作。例によって細部まで記憶しているわけぢゃないが(ついでに言うと本も既に売り払ってしまって手元にないが),原作が孕んでいるアナーキーな雰囲気がそこはかとなく感じられるいい出来。なるほど,ボブ・リー・スワガー役にマーク・ウォールバーグってのは思いつきかも。このヒトは若き日の傑作「ビッグ・ヒット」(カーク・ウォン監督)でもこういう「騙されて追われる」役回りだったしな。

 200X年,海兵隊の狙撃手としてエチオピアに派遣されCIAの指揮下にあったスワガー(ウォールバーグ)は,照準手のダニー(レーン・ガリソン)と共に決死の活躍で友軍の撤退を助けるが,ゲリラのまっただ中に置き去りにされて唯一人生き残る。数年後,ワイオミングの山中に隠棲する彼の元に「大佐」を名乗るジョンソン(ダニー・グローバー)という男が現れ,大統領暗殺計画を阻止するため,スナイパーとして敵の計画を予想してもらいたいと言う。

 「この国がならず者国家になってもいいのか?」という大佐の言葉を「もうなってるだろ?」と冷たくあしらいながら,しかし愛国心という言葉に弱いスワガーはよせばいいのに彼らに協力,結局はワナに落ち,大統領狙撃犯,一緒にいたエチオピア大司教(本当の標的は彼だった)殺害犯として追われる羽目になる。

 「この世で唯一頼れる相手」である亡きダニーの未亡人サラ(ケイト・マーラ)に助けを求めなんとか傷を癒したスワガーは,逃走の際に言葉を交わしたFBIの下っ端ニック(マイケル・ペーニャ)を足がかりに新装暴露と汚名返上,そして復讐のための戦いを始める…。終ってみればだからスワガーの犬を殺しちゃいけないんだってば,という映画でした,ちゃんちゃん。


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