フランスの情報機関DGSE所属のスパイ,ジョルジュ(ヴァンサン・カッセル)とリザ(モニカ・ベルッチ)は,アンゴラに武器を流す国際的武器商人リボウスキーを妨害するため,彼の使う輸送船に爆弾をしかける。
作戦は成功するがリザはスパイ稼業に疲れきっており,この仕事を最後にリタイヤすることを上司に願い出ていた。ところがスイスの空港に着いた彼女は麻薬密輸容疑で当局に拘束され,現れた組織の弁護士は「出して欲しければ獄中である女を殺せ」と命令するのだった…。
1985年,ニュージーランド海域でフランスの核実験に対する反対運動を行なっていたグリーンピースの船「虹の戦士号」が爆破され,犯人としてDGSE所属の男女2名が逮捕された。この映画はその女性の方,ドミニク・プリウールが遺した証言を元にしているんだそうで,「スパイが国家や組織のために活躍する」というジェームズ・ボンド路線を期待すると大きくハズす。
…と言って「ボーン・スプレマシー」的な「国家や組織に追いつめられたスパイが逆襲に転じる」という活劇もなく,ただただ「君たちの任務は命令に従うことだ」という非情なスパイの掟だけがクローズアップされる。いや,けっこういい映画だと思うけど,ヒットはしないわね,こういうのは。