大槻ケンヂ率いるロックバンド「特撮」の2枚目のアルバム「ヌイグルマー」が原作…こういうのも原作と呼ぶのかね? とにかくそれを元にあの「ロボゲイシャ」の井口昇がメガフォンを執った,SFガールズアクション・スチャラカ・ロックンロール映画(まだなんか忘れてる気がする)。
母星を失い,落ち着く先を求めて宇宙を漂っていた綿状生命体。地球にやってきて偶然住み処と定めたのが,父親の暴力と両親の離婚で心にキズを負った少女・饗子への誕生プレゼントとしてその母(平岩紙)が製作途中のテディベア「ブースケ」の中。そのボタンの瞳で饗子に一目惚れした彼は彼女を「姫」と呼び,彼女を守ることを新たな使命と誓う。
そこにやってきたロリータ・ファッションに身を包む饗子の叔母・夢子(中川翔子)。ともに暮らしていた両親が亡くなり唯一の身寄りである姉を頼ってきたのだが「ママと二人だけのくらし」を夢見ていた饗子にとって彼女は邪魔者。しかもこの夢子,どうにも不器用でなにをやっても失敗ばかり。「ダメ子」と呼ばれてヘコみながら,でも饗子に好かれたくてブースケを完成させた。
力を併せて饗子ちゃんを守ろう,と誓ったダメ子とブースケ。そんなある日,レストランで食事する一家の前になぜか突然ゾンビの群れが。彼らを操るのは「人類を平等に不幸にする!」という野望に燃える怪人タケシ(猫ひろし)。そのシモベ,片腕ロリータ(高木古都)とキル・ビリー(武田梨奈)の攻撃から饗子を守ろうとして転落するダメ子。
その時ブースケが叫ぶ。「姫を守るために合体だ!」…てなわけで,正義の超人「ヌイグルマー」が誕生するんですがね。ほら,そこのヒト,脱力するのはまだ早いっ。
ヌイグルマーとキル・ビリーの二役を演じる武田梨奈のアクションはなかなか見事だし,中川翔子がお手製だというヌンチャク振り回してゾンビを蹴散らすシーンはブルース・リーばり。だけどその舞台となるのは名物阿波踊り大会準備中の高円寺駅前純情商店街で,ゾンビのほとんどが阿波踊り衣装というありえなさ。そしてタケシに付き従うロリータ少女4人の信じられない最終兵器!
なんつうか,1971年「仮面ライダー」で始まった等身大スーパーヒーローもののテイストを,素晴らしいものもダメなものもダメダメなものもダメ過ぎて却ってアジなものも全部まるごとぶちこんだうえにアキバ系妄想ハーブを刻んで入れてミキサーにかけ,ババロア型に流し込んで冷蔵庫で3時間,これがボク等の青春です,という感じ。違う?