バッドマン 史上最低のスーパー・ヒーロー フィリップ・ラショー監督

 突然だが、オレが甲斐バンドの曲のなかで一番好きなのは「ポップコーンをほおばって」というヤツである。まだ十代の頃、冒頭の「映画を観るならフランス映画さ」というのにシビれた。以来、こういうフランス映画を観るたびに思い出すのだ。

 主人公は売れない俳優セドリック(フィリップ・ラショー)、警察署長である父親ミシェル(ジャン=ユーグ・アングラード)の反対を押し切って役者の道を選んだが、これまで最も顔が売れた仕事は「短小用コンドームのCM」。経済的にも窮乏し、軍人である妹(エロディ・フォンタン)の部屋に居候している彼に偶然、「バットマン」のパクリ映画「バッドマン」の主役が回ってくる。

 映画の敵役はセドリック憧れのヴェテラン俳優ベルモン(ジョージ・コラフェイス)。だが、彼がこの映画に出演したのは脱税がバレて金銭的に追いつめられたため。ついでに自分の住む城を映画のロケ地として使わせており、ぽっと出のセドリックなど歯牙にもかけない。

 そんな撮影が続くなか、セドリックのもとにミシェルが暴漢に襲われ病院に運ばれたとの連絡が入る。慌てたセドリックはバッドマンの衣装のまま、撮影用に改造されているバッドモービルに乗って父の元へ…。ところがその途上、撮影中不発だった弾着がトランク内で爆発。ショックでクルマは銀行に突っ込み、セドリックは意識を失う。

 再び気がついたとき、彼は記憶をなくしていた。身に着けたコスチューム、助手席の鞄のなかの札束(実は小道具なんだが)、トランクの中の死体(ホントは弾着を纏っていた人形)などを見て、憶えはないが自分はとんでもない凶悪犯なのではないかと逃亡を企てる…。いや面白い面白い。安い映画はこうやって面白くすればいいという見本のような映画。やっぱり映画を観るならフランス映画ですよみなさんw


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