探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 内田英二&片山慎三監督

 お気に入り伊藤沙莉(「映像研に手を出すな」の浅草みどりの声でファンになった)の主演作。

 もはやアジア随一のカオスかも知れない東京、新宿歌舞伎町。この町の片隅でピアノのある飲み屋を営業しているマリコ(伊藤沙莉)は、その本業とは別に、この町での人脈を活かした「探偵業」をやっている。ある日の閉店後に店にやってきたのは三人組の黒スーツ、唯一日本語を話せる女性によればかれらはFBIで、依頼はアメリカへの移送途中に自衛隊の研究員・天本(宇野祥平)によって持ち去られた宇宙人の探索!

 多額の報酬に二つ返事でこれを引き受けたマリコだったが,入ってくる情報は玉石混交。それは別に、マリコの昔を知る元ヤクザ(北村有起哉)が鉄砲玉としての最後の仕事に突っ込んで行ったり、ホストに入れ揚げた店の女性常連客(久保史緒里)が彼の部屋に押し掛けて焼身を計る、これまた店の常連である実は殺し屋の姉妹がオトコをめぐって仲たがいするなど事件満載。

 やがてマリコの恋人で自称「伊賀麻績新陰服部流」忍者であるマサヤ(竹野内豊)が天本と宇宙人を匿っていることが露見。FBIとそれに協力要請された警視庁、FBIより先に宇宙人を見つけて中国に高く売り飛ばそうと画策するヤクザの一団、そして宇宙船に連絡を取り、まだ子供である宇宙人を親元に返そうとする天本らが錯綜し…。

 いや面白い面白い。中でも唐十郎率いる状況劇場の往年の盛況を語ってマリコにキョトンとされる六平直政が傑作。封切り時から気になっていたのだが上映館が少なくて観に行けなかった一作。前にも増して伊藤沙莉のファンになりましたよ。


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