これはたしか,仕事が切れてぽっかり時間が空いてしまったウィークデイの昼間,丸の内東映まで観に行った映画。そんなだから空いているかと思いきやこれがなんと7分以上の入り。映画の内容のせいか観客の年齢層も高く,もしかしたら観客の中でオレが一番年下(当時43歳)なんでは? と疑うほど。特別出演の森繁久彌登場にあちこちから「ほう」という声があがる雰囲気,分かります?
入居時に1億円近い金が必要な高級老人ホームで「悠々自適の老後」を楽しむ爺さんたちの5人組。「退屈が一番怖い」というのが口癖だったゲンさん(藤岡琢也)がポックリと逝き,元映画プロデューサであるキクシマ(山崎努)に形見分けとしてノートが一冊託された。
表紙に「死に花」と書かれたそのノートにはなんと,仲間の一人イノウ(宇津井健)のかつての勤め先で,彼に不正融資の責任を押し付けたうえでリストラした「さくらんぼ銀行」への復讐案。銀行の本店の地下に穴を掘り,金庫を下から穿ってごっそり現ナマを頂戴するという大計画が…。
いやいやこれは面白かった。爺さん婆さんと言わず老若男女,猫も杓子もとりあえず観るべし。痛快無比いやさ,痛快無茶な映画である。
こっから余談(全部余談か)。劇中,互いに惹かれ合うようになるキクシマとスズコ(松原智恵子),だが体力に自信が持てないキクシマはどうしてもスズコをベッドに誘えない。それをアナイケ(青島幸男)ら周囲の連中が寄ってたかってけしかけ励まして…というシーン。上映当時は笑って観てたが今になるとキクシマの逡巡がわかるなぁ。
出演は上の他,谷啓,長門勇,小林亜星に加藤治子,あ,ミッキー・カーチスもいたか。とにかくみんな楽しそうなのがよろしい。