殿、利息でござる! 中村義洋監督

 2016年公開。なんでこれ観に行かなかったんだろ。いろいろスケジュールが立て込んでたんだな(今と同じだ)。18世紀中葉、仙台藩伊達家の領内で実際にあった出来事を元にした脚本だそうで、題名はコメディっぽいが(いや実際、コメディなんだが)、結構涙腺を刺激する。

 舞台は江戸時代明和年間…歴史の教科書に出てくるような事件と言えば明和の大火くらいか。目黒行人坂の大円寺が火元となった「江戸三大大火」の一つで、麻布京橋日本橋から神田明神湯島天神浅草本願寺まで焼き尽くした。

 この火事が明和9年なのでその6年前、仙台藩の吉岡宿。当時仙台潘内の宿場町には物資の輸送を行う「伝馬役」とおい労役が課せられていた。しかも吉岡宿の場合、藩の直轄領でないという理由で助成金が出ない。早い話がこの労役は全部宿場住民の持ち出しで、その負担に耐えかねて破産・夜逃げが増加。それでヒトが減っても労役は減らないからなお生活が苦しくなるという悪循環。

 これをなんとかしたいと宿場内の造り酒屋・穀田屋十三郎(阿部サダヲ)は代官への上訴を決意するが、茶師・菅原屋篤平治(瑛太)に止められる。そんなことをしてもお手討ちになってそれっきりだ。それよりは…と彼が持ち出したのは宿場有志が金を出しあってそれを藩に貸付けその利息でもって伝馬役を賄おうという案だった。

 発案者の篤平治自身が「冗談です」というこの奇策に賭けた十三郎は、宿場を束ねる肝煎・遠藤幾右衛門(寺脇康文)や大肝煎・千坂仲内 (千葉雄大)らを説得、宿場の有力者たちを次々と巻き込んで行く…。宿場内でのいろいろな軋轢を経て数年後,遂に目標額だった五千貫文を集めた彼らは群奉行、代官を経て藩の財政を担当する出入司・萱場杢(松田龍平)にこの申し出を提出するのだが…。

 いやぁいいハナシだなぁ。基本的に悪人が一人も出てこないのがいい。エンドロールで流れるRCサクセションの「上を向いて歩こう」がまたいいし、オレは竹内結子が元気に動いてる(当たり前なんだが)のがとっても嬉しかった。


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