渇き パク・チャヌク監督

 宗教的義務感に駆られ,謎のウィルスEVの治療人体実験に参加した神父サンヒョン(ソン・ガンホ),500人の被験者の中一人だけ生き残り帰国後は聖者扱いされるようになる。が,彼が助かった理由は輸血用血液の中に混じっていたバンパイアの血のおかげ。血を飲まない日々が続くとEVの症状がぶり返す。教戒師を務める病院の入院患者の血を飲んで命を永らえている。

 ある日サンヒョンは孤児だった少年時代に世話になった家族と再会,幼馴染みのガンウ(シン・ハギュン)とその妻テジュ(キム・オクビン)の家に足繁く通うように。職業柄女性経験皆無の彼に対してテジュは夫の暴力を訴え,やがて二人は道ならぬ恋に落ちていくのだが…。

 まず神父が吸血鬼になっちゃうという,皮肉と言えば皮肉,滑稽と言えば滑稽な設定が秀逸。ほんで,バンパイアになったので女色が我慢できなくなって不倫するのかと思ってたら(吸血鬼の神父が人妻と出来ちゃうハナシだ,というのは観るまえから知ってた)全然そうぢゃなく,女色にのめりこんでいく一番の要因はそのオンナ,デジュの色香とそのサイコパス的性格だってのがフルってる。

 ほんでこのキム・オクピンって女優がすごく可愛くってコワイんすよ。エロスありギャグありスプラッターあり,つまるところ何でもアリのコリアン・エロティック・ホラー。一個だけ難癖をつければ麻雀シーンのリアリティがイマイチだが…とにかくさすがは「オールド・ボーイ」,「親切なクムジャさん」を撮ったパク・チャヌクといった感じ。血がドバーっつうのが苦手でなければ是非どうぞ。


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