題名でミステリかと思って観始めたら実際に起きた事件を題材にした社会派だった。全然知らなかったが韓国でこんなことがあったのね。
外科医として大学病院に勤務するチョン・テフンは、妻ハン・ヨンジュから、最愛の息子ミヌ(キム・ハオン)がプールで気を失い重体だという報せを受ける。最近咳き込むことも多く体調のすぐれなかった息子だが、まさかそんな重傷とは…。入院のための荷物を取りに家に戻る妻に代わって病室に詰めたテフンだったが、いつまで経っても妻が来ない。帰宅してみると妻は死んでいた。
解剖の結果、妻の肺は息子の症状をさらに悪くしたもの。その原因は謎だったが、テフンはやがて、数年前から同じ症状での死亡例が報告されていたことを知る。それらの遺族を訪ね歩き、遂に突き止めた原因は、息子に善かれと加湿器の水に加えていた殺菌剤だった。
テフンは被害者を束ね、製造販売元の会社を相手に裁判を起こす。弁護士には妻ヨンジュの妹ギルジュが検事の職を辞して付く。会社側はこの訴訟を潰すためにありとあらゆる汚い手を繰り出してくる…。政治家が動き、信頼していた証人の科学者に裏切られ、万事休すと思われたその時、まったく予想外の人物から意外な申し出が…。
面白がっちゃいけない題材なんだが、映画としてすげえ面白い。ギルジュが大企業相手に訴訟を起こすことをためらう被害者たちを前に、日本の水俣病裁判の例をひくところはちょっと…いや大変ツラかったが(水俣病は症例の報告から原因企業の非が認められるまで実に三十年以上かかっている)。