マサチューセッツ州ボストンでミステリー専門の書店「オールド・デヴィルズ」を営むマルコム・カーショー。店は有名推理作家ブライアン・マーレイとの共同経営、二人の店員と一匹の猫がいる。
この店である日、グウェン・マルヴィというFBI特別捜査官が訪ねてくる。マルコムはブライアンの出資によりこの店を買い取る前、店員としてオールド・デヴィルズのウェブサイトに本の紹介記事を掲載していたのだが、その第一作「完璧なる殺人8選」という記事で取り上げた本の手口を模して連続殺人が起こっているかも知れないというのだ。
例えば他の場所で殺した男の死体を線路に転がし、あたかも列車から飛び降りたように偽装したのは明らかにケイン「殺人保険」を意識していると思われる。名前が「鳥」に関係している三人の男女が連続して殺害され、ご丁寧に鳥の羽を送り付けて来た事件は、クリスティの「ABC殺人事件」を模倣しているに違いない…。
そして最近、かつてオールド・デヴィルズの常連客だったエレイン・ジョンソンが引っ越し先のメイン州の自宅で心臓発作で死んだ。どこから見ても自然死だが、それは8冊のうちのひとつであるアイラ・レヴィンの戯曲「死の罠」の通り、心臓に持病のある被害者をなんらの手段で驚かせることで死に至らしめた、ものかも知れなかった。
マルコムはグウェンに協力を約束、自分の選んだ8冊の本を再読し始める…のだが、実は彼には絶対にFBIに明かせないある秘密があり、事件の犯人は自分にあるメッセージを送っているのだ、と確信する…。
いやはや凝りも凝ったり、脱帽ものの変態ミステリである。8冊のうちオレが読んでたのは3冊、まぁ2冊はそもそも邦訳がないのだが、久しぶりに結末近くまでなにがなんだかわからなかった。あなたがすれっからしのミステリ読みであればあるほど楽しめると思う。まぁヒトによってはすげえ怒るかもしれないけど。
