ボストン郊外の静かな街、ウエスト・ダードフォード。ここに一軒家を買ってケンブリッジから引っ越してきた版画家ヘン(ヘンリエッタ)とロイドの夫婦は、近所で開かれたブロック・パーティで隣家の夫婦、マイラとマシューと知りあう。参加者のなかで子どもがいないのはこの二組だけだったこともあって親しくなり、翌週ヘンはマイラから週末、彼女の家で四人一緒に食事をしないかと提案される。
双極性障害の罹患歴があり人見知りの激しいヘンだったが、マイラの熱心な誘いを断れず、ロイドと二人ワインを抱えてマシューの出迎えを受ける。マシューは近隣にある私立高校の歴史教師で、マイラは教育ソフトウェアの営業職。食事のあと、マイラの案内で部屋を見てまわったヘンはマシューの書斎に飾られたフェンシング大会のトロフィーを見て卒倒しそうになる。
二年半ほど前、当時二人が住んでいたケンブリッジの家の近所でダスティン・ミラーという若者が何者かに殺害された。被害者は椅子に縛りつけられて拷問されており、その部屋から財布やパソコンなどとともに「紛失」していたのが、ダスティンが高校時代に出場したジュニア・オリンピックで獲得したフェンシングのトロフィーで、しかもその高校はさっき聞いたばかりのマシューの勤務先なのだ。
マシューは「それはガレージセールで買ったんです」と言ったが、ヘンはマシューこそがダスティンを殺した犯人であると確信する。ロイドは反対するが彼女は警察に連絡。しかし警察は彼女が過去に病気の影響で起こした暴行事件のことを勘案してまともに受け取らない。一方マシューはヘンがトロフィーを見つめる様子に気付き、早速これを処分する。ヘンは正しい、彼はたしかにダスティン・ミラーを殺していた。そして他にも…。
相変らずのスワンソン節が冴え渡る。パトリシア・ハイスミスの流れを汲む(と思ってるのはオレだけかも知れないが)「どいつもこいつも小説」の傑作。読み終ると、なるほど、「だからダスティンは死んだ」のか、と思うよ。
