冒頭、この漫画の設定に不案内なヒト(まさしくオレのことなんだが)にも判りやすく、この家族・フォージャー家の面々の事情や能力について解説してくれる。そうか、そういう話だったんか、と納得。これって「名探偵コナン」のシリーズで毎回「高校生名探偵のオレは黒ずくめの男達の取引を目撃云々」とやるのと同じなんだが、初めて観る人(というはもちろんオレのことだが)としてはその親切さが新鮮であった。
ということで、こっからは「そういう話」であることを知ってる前提で書く。アーニャの通うイーデン校で学校を挙げての調理実習が行われる。これで優勝した生徒には星<ステラ>が与えられ、家族ともども政府高官に逢うチャンスが。ロイドはオペレーション梟(ストリクス)の成功のためなんとしてもアーニャを優勝させなくてはと張り切る。
料理を評価する審査委員長は校長、リサーチにより今はあまり作られなくなった菓子「メレメレ」が大好物と知ったロイドは、週末を利用してメレメレの本場であるフリジス地方へそのレシピを調べるための家族旅行を提案、ヨルもアーニャも大賛成だったが、往路の列車内でアーニャの好奇心がとんでもない事態を引き起こしてしまう…。
こっから先はネタバレになるので書かないが、このアーニャの冒険(の副作用と言うべきか)という縦糸に、ヨルのロイドへの浮気疑惑だの、オペレーション梟(ストリクス)でのロイドの妻役には自分こそが相応しい、と恋に燃えるフィオナの思惑だのあれだのこれだのが横にナナメに錯綜して観客のオレに「どう落着させるのよこの話」的心配までさせる見事なチカラワザ(褒めてない)の脚本がすがすがしい。どうせみんな「アーニャかわいいからいいぢゃん」と言うだろうし、だんだんオレもそう思えてきたし。