宇宙人のあいつ 飯塚健監督

 舞台は高知県土佐市。海沿いの焼き肉店「ヤキニク・サナダ」を営む真田家は四人きょうだい。店を切り盛りする長男・夢二とその補佐役でイケメンの日出男、清掃工場に勤める長女・想乃に末っ子でガソリンスタンド勤務の詩文。店には日出男目当ての女性客も多いが、日出男は「苦手だ」と言って写真を撮られるのを拒んでいる。

 ある朝、なにか起きると始まる恒例の「サナダ・サミット」で、夢二が衝撃の事実を明らかにする。実は日出男は23年前に地球にやってきた土星人の調査員で、あと一月で任期が切れ土星に帰らなければならないというのだ。

 そんなバカなと驚く想乃と詩文、23年より前の日出男のことを憶えていると想乃が言うと、日出男はこともなげに「それは記憶を操作したんだ」と。夢二が証拠を見せると持ち出してきた一家のアルバム、四人で撮ったはずの写真には日出男の姿だけ影もカタチもない。いわく「土星人は写真に写らない」のだった…。

 日出男の出発まであと一月、とは言えほかのきょうだいにもそれぞれに悩みはあり、詩文は高校時代に「変な渾名をつけただけ」の元同級生に「オレの中学時代は暗黒だった」と絡まれ職場で嫌がらせを受けている。想乃は腐れ縁でつきあっている自己チュー男の子供を身篭もってしまいそれを言い出せない。

 そんな悩みのあれこれを正体を明かした日出男があっと驚く超能力で…とここから先はネタバレになるが、なかなか面白いオフビートSF。それほどローカル色も出てこないが、南国土佐の明るい雰囲気が映画のトーンにマッチしてる気もするし(実は四国には一度も行ったことがないんだけど)。ただ、最後のアレはちょっと「とってつけた」感ありすぎかと。


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