中国の動画サイト「iQIYI(アイチーイー)」でドラマ化されて大ヒットした原作(「坏小孩」 紫金陳著)を、沖縄を舞台に翻案した、と聞いていた。ドラマを観たヒトからは「随分雰囲気が違う」とマイナスな評を聞いてたのだが、いやこれすげえ面白いぢゃないですか。
沖縄市郊外の海を見下ろす断崖絶壁、県内一のコングロマリット・東グループの会長とその妻が娘婿・昇(岡田将生)と共に登ってくる。会長は上機嫌だ、こいつにプロポーズした場所なんだよ。昇は写真を撮るから二人で並んでくださいと彼らを崖っぷちに立たせ、次々と突き落として殺してしまう。そして崖を下り助けを求める。会長の持病から処方薬の副作用まで計算し「事故」を演出した完全犯罪…のはずだった。
その時、崖を見渡せる砂浜で3人の少年少女が遊んでいた。崖の程近くのホテルで働く安室香(黒木華)の13歳の息子・朝日(羽村仁成)と、かつて近所に住んでいた朝日の幼なじみ・浩(前出燿志)とその妹・夏月(星野あんな)。浩と夏月は互いの親の連れ子同士。夏月が自分を襲おうとした浩の父親を刺してしまい、朝日を頼って逃げてきていた。
3人は浜辺で写真を撮りあううち、偶然昇が義父母を崖から突き落とす動画を撮ってしまう。親を刺して逃げている以上警察には届けられない。そこで朝日が提案する。この映像をネタにしてあのヒト(昇)を脅そう。一千万はイケると思う…。かくして欲のために平気でヒトを殺すサイコパスと、13歳の子供たちの心理戦・頭脳戦が始まる。おいちょっと待て…と思っても待ってくれないジェットコースター映画。
沖縄の夏、夜空、サスペンス、意外な幕切れと倖田來未のエンディング・テーマまで満喫できますぜ。