西村晃主演の東映サスペンスコメディ。チャンネルNECOで放映した時,題名の面白さに惹かれて録画して観たのだが,これは大傑作でありました。なんでこれ,ビデオもDVDも出てないのかしら。原作は樹下太郎。
かねてから女房すみ江(春川ますみ)の浮気を疑っていたタクシー運転手・麻見(西村)は,ある日妻を尾行してその証拠をつかみ,帰宅した彼女を問い詰める。
ところがこの女房,悔悛の情を見せるものかは,浮気相手との仲を精算するついでに自分が自殺したことにして彼ら(複数なのだ!)からいくばくかの金を強請り取ろうともちかけるのだった。
説得されて話に乗った(載せられた)麻見,翌日から死化粧をしたすみ江を棺に納め,霊柩車を雇って計画通り浮気相手たちのところを回るのだが…。
ノミの夫婦を演じる2人の他,曽我廼家明蝶,金子信雄,渥美清らいずれ一癖も二癖もある役者たちが,二転三転七転八倒虚々実々の立ち回りをテンポよく見せる芝居は圧巻。なにしろ浜村純,加藤嘉,小沢昭一,花沢徳衞といった面々がちょい役なんだから。
岩谷時子(加山雄三の「君といつまでも」を書いたヒトである)作詞,西村晃作曲の主題歌もイケていて,当時(1964年)の日本映画界の幅の広さを感じさせる。聖徳太子の一万円札も懐かしいなぁ。とにかく機会があったら是非観ていただきたい一本であります。