その昔、面白かったのにファーストシーズンで打ち切りになっちゃった海外ドラマ「フラッシュフォワード」で、主役のFBI捜査官マーク・ベンフォードを演じたジョセフ・ファインズ…グイネス・パルトロウと共演した「恋に落ちたシェイクスピア」のシェイクスピア役,そのシェイクスピア原作の「ヴェニスの商人」におけるバッサーニオ役など,どっちかと言うと時代物専門役者のイメージだった彼が、2006年に主演したナンセンス映画「ダーウィン・アワード」のネタ本である。
ダーウィン・アワードというのは「ありえないほどバカバカしい方法によって死ぬか生殖能力を失うことによって,自分のようなアホの遺伝子を後の人類に遺さないことに成功,結果的に人類の遺伝子の質の向上に寄与したと認められるヒトに与えられる賞」である。ま,論より証拠,実例のほうが分かりやすい。
たとえば1996年の受賞者は,インドで年越しの酒に酔い,動物園のトラの首に花輪をかけるという新年の儀式を思いついて実践,当然のごとくトラに噛み殺された。1998年には魚を獲ろうとボートの上から火をつけたダイナマイトを湖に投げ込んだらそれがボートの真下で爆発して命を落としたイリノイ州のオトコが栄冠に輝いた(輝いてない)。
そんなアホはオトコばっかりだろって? ちっちっち,受賞者にはちゃんと女性もいます。断食による魂の浄化を説く新興宗教に嵌まったイギリス人女性は食糧ゼロ,テントだけを持ってスコットランド高地に向かい,そのまま餓死している。その宗教の教祖はものを食ってるところをちゃんと目撃されてるんだけどね。
同じようなアホをやったがたまたま命拾いしたため「選外佳作」とされたものや,事実であるという裏がとれないため「都市伝説」扱いとなっているものもあわせ,有名なアインシュタインの言葉「この世に無限のものはたった2つ,宇宙と人間の愚かさだけだ。しかし宇宙の方は,もしかしたら有限かもしれない」を証明するような抱腹絶倒のエピソード集。
アホのアホな死に方? そんなもの読んでも笑えるだけで何の教訓もないぜ,と言い切れますか? オレはちょっと自信がないな(笑)。