すげえ面白いんだがその面白さを説明するのがとってもとっても難しいんだよなこれ。
昔馴染みの男女8人(年齢に結構差が見受けられるので学生時代の同級生とかではないらしい)がそのうちの2人,リー(ローリーン・スカファリア)とマイク(ニコラス・ブレンドン)のホームパーティに訪れる。夜通し飲んで旧交を温めようという催し。
エム(エミリー・バルドーニ)とその恋人ケヴィン(モーリー・スターリング),ドラッグと風水に凝っているベス(エリザベス・グレイセン)とその夫ヒュー(ヒューゴ·アームストロング),そして遅れてきたアミール(アレックス・マヌジャン)は,なんとケヴィンの元カノ,ローリー(ローレン·マヘル)を伴っていた。
ひとしきり近況を伝えあったあと,話題は今夜最も地球に近づくというミラー彗星に。古来,彗星の接近時にはいろいろと不思議な現象が起きてるのよ,と,例によってベスがオカルト話を披露し座が盛り上がる最中,突然家中の明かりが消える。
停電か? 何人かが外に出てみると3ブロックほど先まで真っ暗闇。これも彗星の影響? 物理学者の弟に「彗星の接近中なにか異常が発生したら連絡をくれ」と言われていたヒューは,早速携帯を取り出してダイヤルしようとするが繋がらない。テレビやラジオも使えず,外界の状況から遮断された彼らは,徐々に言い知れぬ不安に絡め取られていく。
そうこうするうち,誰かが窓の外に1軒だけ明かりの灯っている家を見つけ,あの家を訪ねてみればなにか事情がわかるかも,と言い出す。ヒューとアミールがその家を訪ねてみることになるのだが,もどってきた二人の言うことはどうも辻褄があわず…。
藤子・F・不二雄のSF短編に「パラレル同窓会」というのがある。大会社の重役として成功した男のもとにある日「パラレル同窓会のお知らせ」が届く。なんだこりゃといぶかっていると「その時」が訪れる。そこには過去,人生の岐路において自分が採らなかった選択をした別の世界の自分(たち)が…つう話なんだけど,この映画はその団体版なのね。劇中ヒューが「シュレーディンガーの猫」に言及するのは故意のミスリードだろ。
わけわかめに思えるのは観客である自分の頭の中に,今スクリーンの中にいるのが,自分が最初から観ている8人だ,という前提があるから。そのタガをとっぱずしてしまうといろいろ細かい仕掛けが全部見えてきて実に楽しい。大人になったドラえもんファンには是非ご覧いただきたい。