白夜行 深川栄洋監督

 昭和55年,子供たちの遊び場になっていた廃ビルで質屋の店主が殺される。被害者と男女関係があったらしい客の女とその恋人に容疑がかかるが,決定的な証拠のないまま2人が相次いで事故死。被疑者死亡のまま送検というカタチで一応の決着を見た。が,事件を担当した刑事・笹垣(船越英一郎)はその結論にどこか腑に落ちないものを感じていた。

 時は流れ,美しい娘へと成長を遂げた被疑者の娘・雪穂(堀北真希)の周囲で発生する謎の事件の数々。なおも真相を追い続ける笹垣はそれらの陰にあの殺人事件の被害者の一人息子,亮司(高良健吾)の存在を感じ取っていた。あのころ同じ小学校に通っていたものの,互いに接点のなかったはずの雪穂と亮司。何者かに命を狙われ,なおも真相を追い続ける笹垣が遂に突き止めた事件の全容は…。


 映画は140分を超える長尺。舞台を原作の大阪からどこだかわからない地方の小都市に変更している(エンドロールにロケ協力地として松本市と出てたがどこがそうなのか,あそこに4年住んでたオレも気がつかなかった)ほか,小さな,しかし印象的なエピソードのいくつかを削ってはいるが,全体的なトーンは驚くほど原作に忠実だ。

 この手の映画にありがちな独白の長台詞はもとより(あれって脚本家の言い訳だよね)小説と同じくストイックなまでに主人公2人の感情表現を排した演出が奏功,巧く撮ったもんだなぁ,という印象である。ま,細かいことを言うと,堀北真希がもう少し怖く見えればなぁ(特にセーラー服姿にはどうしても「ALWAYS 三丁目の夕日」のロクちゃんのイメージがかぶる)とか,ラストの船越英一郎の喋りは要らねぇだろとかは思っちゃうんだけどね。


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