ワンドゥギ イ・ハン監督

 主人公ワンドゥク(ユ・アイン)は高校生。身体に障碍のあるキャバレー・ダンサーの父(パク・スヨン)とその父に弟子入りしていつの間にか一緒に住むようになったミンク叔父さん(キム・ヨンジェ)との3人でオクサンパン(屋根部屋~民家の屋上などにつけたしみたいに立てられた小屋状の住居,貧乏人ご用達の賃貸住宅)暮らし。

 ただでさえ貧しいところに仕事場だったキャバレーの店主が夜逃げし,父とミンク叔父さんはどさ回りの行商へ出ることに。ワンドゥクには学校を通して困窮家庭への援助食糧が配給されるが当然それをクラスメートには内緒にしたい。それなのに担任教師のドンジュ(キム・ユンソク)は皆の前で「おいワンドゥク,あとで配給を取りに来い」とバラしてしまい,返事をしないと「なんだお前,貧乏を恥じてるのか,貧乏は恥ずかしいことぢゃないぞ」と火に油を注ぐ。

 しかもこの先生,実はワンドゥクの隣の家のやはりオクサンパンに住んでいて,夜中に大声で彼に配給食料を無心する。かくしてワンドゥクは近所の教会に行き,神様に「あのクソドンジュを殺してくれ!」と祈るのだがそんな願いがかなうはずもない。

 ある日ドンジュに呼び出され,その口から「おまえのお母さん,フィリピン人なんだな」と驚愕の事実を知らされて混乱するワンドゥク。母については何も教えられていなかった。「在留外国人の支援組織で逢ったんだ。お母さん,お前に逢いたがってる」と追い討ちをかけられ,心の準備もできないまま母(イ・ジャスミン)と対面させられて…。

 今どき珍しい…日本でもそうだが,いわゆる韓流ドラマとか観てる限りでは(いや,観てないか。聞きかじる限りでは,だ)韓国でももう珍しいだろう正統派の青春ドラマ。武田鉄矢の「三年B組金八先生」どころか竜雷太の「これが青春だ」あたりを彷彿とさせるスジダテだがそれが却って新鮮,後味もよし。ま,適度にズルくスネにキズもあるドンジュのキャラクターはそれなりに21世紀的だけどね。


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