2022年公開の韓国映画。「シュリ」のヒロイン、そして米ドラマ「LOST」でも活躍したキム・ユンジンの主演だったのに迂闊にも見逃していた。これすげえ面白いではないか。
財界有力者の娘と結婚、この逆玉を足がかりに韓国を代表するIT企業の代表に登り詰めたユ・ミンホ(ソ・ジソブ)が内側から鍵のかかったホテルの一室で不倫相手のキム・セヒ(ナナ)の死体と供に発見され、殺人容疑で検挙される。
仮釈放された彼はこうした事件での無罪獲得率100%を誇る敏腕弁護士ヤン・シネ(キム・ユンジン)に依頼。マスコミを避けるために滞在中の別荘に彼女を呼び寄せる。やってきたシネはミンホの「キム・セヒとの不倫を暴露するという脅迫を受けて指定されたホテルの部屋に入った」という主張を一蹴、自分には真実を明かして貰えないと弁護はできない、と言い放つ。
問い詰められてミンホが語った「真実」とは、事件に先立つこと二月ほど前,この別荘でセヒと一夜を明かした帰り道のこと。山道に現れたシカを避けた勢いで対向車線に入りその煽りで対向車が道端の岩に激突。運転していた若者は死亡したが警察に通報しようとする自分を「不倫がバレる」とセヒが止め、事件の隠蔽を指示したというもの。
ミンホがクルマと死体を始末している間、エンストしたミンホのクルマで待っていたセヒは通り掛かった親切な男に救われる。しかし男の家で修理を待つ間に彼女が見たのは壁に飾られた男の自慢の息子の写真、それはあの事故で命を落とし、ミンホがその死体を隠しに行ったあの若者だった…。
二転三転…どころか七転八倒…は意味が違うか。とにかく誰かが何かを言うたびに観客の心象が180度変わってしまう見事な脚本と演技。もともとは2016年にスペイン映画を翻案したものだと言うがそれも観てみたくなるな。